「今思うと、このころが一番かわいかったけど、でも一番孤独な時期だった」
カフェで隣から聞こえてきた声の方向を見ると、
写真を見ながら語り合う2人組の女性。50代位だろうか。
「毎日話をする相手もいなくて、社会から断絶されたような気持になって、
私、焦って新聞を必死に読んでたわ」
「働いていたころは、朝と晩しか家にいないから、近所には誰も知り合いがいないし。
本当に孤独だった。だから追い詰められちゃうのよね」
もう20年近くたつのに、状況は今もあまり変わっていないんだな。
「でも、二人目は、自分の中に経験値があるからずいぶん楽になるのよね。
1人目の育児の頃が、一番孤独だった」
「3人目なんて、このまま歩かなくていい、大きくならなくていい、
こうしてずーっと眺めていたいと思ってた」
そんな会話が続いた。2人目3人目と育児は楽になる。
これもまた変わらぬ事実なのかもしれない。
1人目育児期の孤独感。
思い出すだけで涙が出そうになるほど辛くなった時期が、私にもある。
SOSを発信した私を支えてくれたのは夫だった。
一度も利用したことのないフレックス制度を利用して、16時に退勤し、
私がカフェで一人で過ごせる時間を作ってくれた。
それは、数日だったけれども、
あの時期を機に強烈な孤独感は底を打ち、
めきめきと回復していったことを覚えている。
あの時、夫に「仕事が忙しいから」と言って
SOSを無視されていたら、私たち家族はどうなっていたのだろう。
子どもは果たして生きていただろうかとさえ、思うことがある。
1人目の育児に夫が協力的な家庭では、
第2子以降を授かる率が高いというデータがある。
子育て支援施設や、保健センター、ママ友サークルなど、
孤独を軽減するための施設は少なくはない。
それでも、夫にも、子育て中の母に寄り添ってほしい。
核家族化する現代において、
子どもの成長を一緒に見つめ、不安や喜びを共有していきたい
子育てのパートナーは夫なのだろうから。
夫は仕事で忙しくあてにできないからと諦め
「夫は死んだものと思っている。」という母親は少なくないと聞く。
そう思わないと、辛くてやっていけないからだ。
男性の役割を、家族の生活のために働き、収入を得ることだけに見出すのではなく、
家庭で過ごす時間の中に見出しても、肩身の狭い思いをしなくてすむ社会になるといいな。
母親でも父親でも、家族のケアも仕事も両方大切にしたい、
という気持ちがあるなら、大事にできる環境を育てていこう。
家族の幸せのために、どちらも必要なのだから。
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